2009年04月20日

前田憲男の三つの輝き

 ステージプロデュースの立場で熟慮して想うことは、音楽家・前田憲男の素晴らしさには三つあるということだ。
 一つは音楽業界での知名度が示すとおり、ジャンルにとらわれない豊かな幅の広い音楽性である。どんな音楽も前田憲男にかかれば、前田憲男の音楽になるのである。かつてある大手着メロ配信会社との提携で、アレンジの妙味のようなイベントをやったことがある。基本は指定された楽曲のアレンジを生で演奏するのである。その中に鉄腕アトムのテーマ曲があった。それは元アレンジに忠実なものであった。先生曰く「良いものは良いのだ」。また、一曲を様々なアレンジで変化させる先生のアイディアもあった。クラシック風から演歌風まで、これが同じ曲かと想われるほど雰囲気が変化する。また楽器の音が足りなければ、そこにいる楽団のメンバーが声を出す。そこに形にとらわれない大地図にいる前田憲男音楽を感じる。
 二つめは前田憲男の人間性である。つねに相手の立場から物事を考える優しさがある。第一に聴衆の眼、演奏家の眼、そして自分の創造眼、これらの三つの眼で音楽の環境をとらえているのだ。それは、大きな絵を描く画家のように背後から全体像を眺めている。だれに対しいても、前田憲男の音楽には押しつけはない。共に楽しむ、共に感じようとする謙虚な世界がある。
 三つ目は、やはり前田憲男のピアノである。そのピアノはオーケストラである。「ピアノは奥が深く広い」と言っていたことがある。50年以上もピアノに触れてきた実感と努力が、そこにまで、ピアノを自由に感じられる要因であろう。それを操り、ご自分の心をピアノで伝える前田憲男という演奏家自信が妙味である。単に記録された譜面に弾かされているのではない、ご自分が、素直に感じた世界を表現しているのである。
 こんどのステージは、それらを体現できるステージになると想う。
 第四回Grand Seiko presents前田憲男コンサート
posted by 池田和一郎 at 13:38| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

第一回Grand Seiko presents前田憲男コンサート

 世界的にも音響的に良いと言われる、会場は浜離宮朝日ホールである。コンサートのサブタイトルは、「前田憲男 ピアノアレンジによる『West Side Story』への想い」
 本番当日にはアメリカから、ミュージカル「West Side Story」の主人公、ジョージチャキリスから、成功を祈るという祝辞を前田憲男にいただいた。そのとき初めて知ったのだが、前田憲男先生とジョージチャキリスとは、なんと同い年だったのである。
 第一部は、サブタイトルの『West Side Story』の名曲のピアノアレンジである。このシーンは、山下美香という女性ピアニストを中心に展開した。類い希な本人の努力で、前田憲男先生の意図する雰囲気は出せたと思う。先生との練習でも涙ぐましいシーンも多々あった。そのピアニストの持ち味を尊重する前田憲男先生は、その持てる力を最大限に引き出す天才である。
 第二部は、スクエアピアノといわれる19世紀中期にスタンウエイで創られた、レトロピアノを前田憲男先生がソロで弾かれた。ベートーベンの「月光」他。先生曰く「このレトロのピアノの音は井戸水だ」と。このピアノは、調律が難儀である。現代のピアノのようにはいかない。そもそもピッチが上がらないのである。だが、それなりの素晴らしい味がある。まさに味わって先生は演奏していた。
 本当は、ありていなステージ上ではなく、その巨大な長方形の家具のようなピアノを客席の中奥に置き、それを包むように観客が聴くという、かつての中世時代のサロンコンサート風景を、先生は考えたらしいのだ。しかし、そのあまりの楽器の重さに実現はできなかった。
 後半は前田憲男先生の本領の発揮である。ピアノトリオでのジャズアレンジのオンパレード。会場は湧き上がった。
 開催翌日には100通を超えるご意見メールをいただいた。
posted by 池田和一郎 at 13:12| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

前田憲男ピアノアレンジ『West Side Story』

 前田憲男 ピアノアレンジ『West Side Story』という、ピアノ曲CDを作成しようという企画から始まった。
 ミュージカル『West Side Story』はバインシュタイン作曲の数々で構成されている。アレンジ候補は12曲ある。・ AMERICA・ COOL・ I FEEL PRETTY・ JET SONG・ MAMBO・ MARIA・ ONE HAND ONE HEART・ SOMETHING'S COMING・ SOMEWHERE・ TONIGHT・ A BOY LIKE THAT / I HAVE A LOVE・ JUMPの12曲である。
 これらの曲のアレンジ仕上がりに前田憲男先生は言った。「これは自分でも弾くのは難しい」と。譜面の読めない僕には幾何学的な絵のようにしか思えないのだが・・・。
 ともあれ数人の技術力豊かなクラシック系のピアニストに弾いていただいた。曲の中には、あたかも三本の手で弾いているような神業的な譜面もある。両手の間に、もう一本の第三の手を入れて、その手の弾く音を、左右の手に振り分けて弾くと言うものだ。そして更にスイングするという。これがなかなかクラシックピアノを学んできた方々には、まして難しいらしい。
 いわゆるピアノ演奏家には、その前田憲男先生の意図する音世界が見えてこないのである。難しいのは承知の上だ。僕は羽田健太郎氏に演奏を、と希望を言ったこともある。だが、残念なことに惜しくも、その羽田健太郎氏は天国に引越しまう直前であった。
 さらに問題はあった。このCD化の権利の許可を受けるために、アメリカのバインシュタイン財団に申請をしなければならない。日本での権利の代行している会社に、その申請書を英訳していただき申請をしたのだが、未だに返答がない。
 それではステージで、これらの作品を公表しようということになった。前田憲男先生に僕は、先生独自のコンサートとして開催することを提案した。前田憲男先生には気負いはない。つねに人も求めるものに持てる最大限の力を発揮するという真摯な方である。ご理解していただける方がいれば・・・、ということでステージの企画がスタートした。
 それが第一回Grand Seiko presents前田憲男コンサート、「前田憲男 ピアノアレンジによる『West Side Story』への想い」である。
posted by 池田和一郎 at 13:06| Comment(14) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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